【制作記録】#005|彫り留め練習

みなさん、こんにちは。
彫金・ジュエリー作家を目指しているめのうです。

前回制作してから数か月間は”彫り留め”に取り組んでいました。
彫り留めは、たがねを使って地金を彫り起こし、そこから出てきた彫りバリを爪として使って石を留める方法です。

毛彫りタガネの全体
毛彫りタガネ全体
毛彫りタガネの側面
側面
毛彫りタガネの上刃
上刃
毛彫りタガネの下刃
下刃

【使用したたがね】彫りたい形や曲線、直線で刃先の形が変わる。今回は毛彫りたがねを使っています。

下準備

今回初めて使った道具が色々あったので、道具の前準備から使用まで書いていきます。

①練習用銅板の用意する

厚さ1.0mm、サイズ120×120mmの銅板を使用しました。このままでは大きいのでカットします。
厚さは使用する宝石の大きさに合わせて変えてもOKです。
今回、高さが1.0mmあるCZ(キュービックジルコニア)を使用するので、厚さは1.0mmにしています。

【注意点】銅板の厚さ

注意点:銅板の厚さ
彫り留めはタガネを叩き、刃先を銅板にめり込ませて、彫りとバリを作ります。叩くときにある程度力が加わるので、薄い銅板を使う場合、彫っている時に銅板が凹んでしまいます。その結果、タガネの刃先と銅板との角度が調整できなくなってしまいます。
ですので、厚さ1.0mmの銅板を使うのが、凹まないし曲がらないし扱いやすいです。

体験談ですが、厚さ0.5mmの銅板だと、金属そのものが曲がりやすく、彫るときに凹みます。
彫っていると「あれ?凹んでる?・・・凹んでるわ!どおり彫りが安定しないわけだ!」となります。
凹みは練習の妨げになるので、できれば厚めを使用するのがおすすめです!

タガネを叩いた時の衝撃で凹んだ銅板
タガネを叩いた時の衝撃で銅板の右側が凹んでいます

銅板は30×40mmのサイズになるように糸鋸でカットしています。
カット後にできたバリで手を切るかもしれないので、ヤスリで取っておきます。
ついでに角も落としておきます。

カット前後の銅板
カット前後の銅板

②銅板をヤニ台にセットする

書籍には松脂を使う等が良く書かれていますが、GC社のモデリングコンパウンドを使用してみました。
まずはコンパウンド2枚を4分割に割り、ヤニ台に入れて、バーナーで焙り溶かして敷き詰めています。
ガスが出てくるので要換気です。

モデリングコンパウンドとヤニ台
モデリングコンパウンドとヤニ台

ヤニ台の準備ができたら、銅板をセットします。
基本はバーナーでヤニ台を少し焙り(溶ける少し前で十分だと思います)、銅板を置くだけです。
銅板を置いた後は、上から軽く押してあげて、銅板とコンパウンドを密着させます。
この時、コンパウンドは柔らかくなっているので強く押すとめり込んで後の作業がしにくいので、軽く押してあげる程度で十分です。
押してあげた後は、銅板の周りをカニコンパス等を使って整えます。

これで下準備が完了しました!

彫りと彫り留め

ではさっそく彫りと彫り留めをしていきます。

①まずは彫ってみる

彫り自体が初めてなので、まず彫ってみました。
タガネをどう持つか、どの角度で叩くとどんな彫りになるのかを確認します。
彫り進めるととバリがでるので、魚子タガネで丸く潰していきます(一応これも練習の一部になります)。
バリが刺さると痛いです(泣)

薄い銅板 彫り留め練習 彫りの感覚を掴む
【彫りの感覚を掴む】この時は薄い銅板を使って、適当にやっていました。刃先が折れなくてよかった…

②直線の練習

慣れてきた(気がする)ので直線を彫っていきます。

銅板に縁を作っていきます。
端から1.5mm離れたところにケガキ線を引き、それに沿って毛彫りタガネで彫ってます。

直線用と彫り留め練習用の銅板
左半分は直線用。もう半分は彫り留め練習1用
直線の練習の図

直線はひとつ彫ったら、その隣にさらに直線を彫り、その繰り返しです。
彫るときは3点意識していました。
・太さは一定(つまり深さが一定)
・断面を見たときにジグザグになるように直線を重ねすぎないこと
・直線がブレずに真っ直ぐであること

感想としては、直線ですら難しい・・・練習量がものを言いそうです。
(画像は次の練習のところにあります)

③彫り留め練習1

2~4点留め練習の前に基本の形を練習です。

まず真っ直ぐ直線を引きます。
その直線から3mm離れたところに平行に線を引きます。
さらにもう一本線を引きます。
そうすると、3本の線が引かれた状態になります。

外側の線に3mm間隔で点をつけていきます。
もう一方の外側の線にも同じようにしますが、先ほどの点の間に入るようにします。

点から中心の線に向けて斜めに彫りを進めていきます。
次は角度を変えて彫ります。
2つの彫りの中心は形状が山になっており、これを彫ってあげれば爪になります。
今回は爪まで作っていませんが、その前段階までを作りました。

彫り留め練習1
直線練習と彫り留め練習1
右側のジグザグしているところを練習しました。

④彫り留め練習2

実際に彫り、宝石を留めてみました。

使用した宝石はCZ(キュービックジルコニア)です。
安価でダイヤモンド並みの輝きがあるのでよく使用します。
直径1.5mm、高さが1.0mmのラウンドを使いました。

たくさんのキュービックジルコニア
直径の異なるキュービックジルコニア
左から直径0.8、1.5、1.8、2.5mm

彫りはざっくり2パターンを試してみました。
・一つの彫り跡が長いパターン
・長さが同じパターン

縁取りは先ほどと同じようにします。
宝石をセットする穴の位置は、縁から5mm離れところにし、間隔も5mmにしてます。

彫った後にでた彫りバリを爪にしたり、魚子タガネで地金をよせて留めたりしています。
石が収まる穴を作るのですが、深さの調整や位置がズレないようするのに結構苦労しました。

彫り留め練習2
彫り留め練習2
基本となる彫って留める。簡単そうで難しい。

⑤彫り留め練習3

彫り留め練習1で練習した彫り方を使って、実際に宝石を留めていきます。
2点留め、3点留め、4点留めを行っています。

2点留めは留めるための山(それを彫って留めます)が作りやすかったのですが、3点留め、4点留めになるにつれて山が作りづらくて苦戦しました。
タガネを起こす角度と向きが重要なのかと思います。

彫り同士もずれなく繋げないと、見た目が悪くなるのも実感しました。

彫り留め練習3
彫り留め練習3
彫り跡と彫り跡の照り返しでさらに宝石が輝いています。

さいごに

真っ直ぐに同じ幅で直線を彫るのが一番難しかったかもしれません。
彫り留めの方は彫る長さがまだ短く、タガネを起こした角度と向きさえ掴めればなんとかできそうです。
彫り留め練習3では連続してるので、位置がずれると全体がゆがんで見えます。

まだまだうまくできないので、変なところを挙げるとたくさん出てきます。
そんな不完全で形は整ってない状態でも、彫り跡には光が反射され、キラキラと輝いていました。
反射された光は宝石の下側に入るので、より一層宝石を輝かせてもいました。
こういうところが彫り留めの魅力なのかと思います。

銅だからなのか、すぐにくすんでしまったのですが、銀とかだとどう輝くだのだろうと想像してしまいます。
銅に比べると銀は高いので、もう少し練習してから銀にも試してみたいです。

直線練習と彫り留め練習123の全体
今回彫りの練習した銅板たち

次の予定

今回は直線を彫ることと留めることに注力していました。
曲線も彫ってみたいのですが、専用のタガネは市販されておらず、自分で加工する必要があるそうです。
次はタガネの加工から曲線彫りまで挑戦します!

それと練習ばっかしてるので、そろそろ銀で何かを作りたい!

ではまたっ!