【制作記録】#003|ロンドンブルートパーズ ❋ シルバーリング

みなさん、こんにちは。
彫金・ジュエリー作家を目指しているめのうです。

今回は抱き合わせリングの制作に挑戦しました。
宝石を優しく抱きかかえるような曲線のあるデザインです。

爪周りの形作りに苦戦し、結構時間がかかってしまいました。
背伸びし過ぎたなぁ…。基本的なことから進めるべきかなぁ…。
と何度も考えていましたが、スキル上達のため最後まで取り組みました。

それでは、使用した宝石制作した作品 についてお話していきます。

使用した宝石|ロンドンブルートパーズ

ロンドンブルートパーズ

トパーズは赤、橙、黄、青、藍ととても色合い豊かな宝石です。
古代エジプトやローマ時代といった古来から使用され、愛されてきました。
トパーズは色によって様々な名前で呼ばれています。
 オレンジや黄色み、赤みのあるオレンジでシェリー酒を思わせるインペリアルトパーズ
 ピンク色や淡い赤紫色で優しさや柔らかな印象を与えるピンクトパーズ(ローズトパーズ)
 青色で青空を連想させるブルートパーズ

また、ブルートパーズはその色の濃淡により呼び方が変わります。

ブルーに色づいたトパーズはF-typeとなりますが、色の濃淡によって名称を変えます。
最も濃く色づいているものがロンドンブルートパーズです。
紺碧に近く灰色がかっており、角度によっては深緑のような色彩を放つものもあります。

なお、ロンドンでトパーズが採れるわけではありません。
ただ、ロンドンの空のように美しい色をたたえているからこの名称が付けられたのでしょう。
もっとも、ロンドンは一年を通して快晴は少ない地域でもありますが。

そしてロンドンブルートパーズよりも青の色味がやや淡くなるものはスイスブルートパーズ、 さらに淡くなるものはスカイブルートパーズと呼ばれています。
とは言え、現在市場に流通しているどのブルートパーズも、天然の色を保っていることはほとんどありません。
ブルーの色味のトパーズは、ほとんどが放射線処理や加熱処理など、人工処理(トリートメント)によって着色されています。

GREEBER ロンドンブルートパーズの魅力

その青みのそのほとんどが人工処理(放射線処理、熱処理)によって着色され、
天然のブルートパーズはごく稀にしか算出しないため高価になってしまいます。

個人的には、天然のものは自然にできた色合いの揺らぎがあって好きですが、
人工処理は本来ほとんど見ない色を引き出し、石自体の可能性を広げていると思います。
自然の造形物と人間の処理技術が組み合わさった協同作のようなものだと。
(人工的に作り出せるので値段も安くなるのは宝石好きとしてはありがたいです。)

色彩によっては見た印象も大きく変わり、個性が感じられ、
一度並べてみたいものです。できれば、ジュエリーにもしたいですね。

制作した作品

ロンドンブルートパーズを優しく包み込むデザインです。
ブルートパーズには、石言葉「希望」があります。

『希望がこれから向かう困難でうっかりと零れ落ちないように、
心の奥に優しく包み込み、立ち向かう勇気を持てるように…』


そんな願いを作品に込めました。

ロンドンブルートパーズを優しく包み込むデザイン
少し斜めに宝石を持ってくると、見た目の雰囲気が変わる

振り返り

<ワックスモデリング>
・指を通す円に沿うような形状に加えて、奥行きまで滑らかに繋がるようにカーブさせること。
・抱き合わせ用の爪の周辺を細かく削るとき、別部分まで削らないこと。
・全体的なバランスを取ること。

キャストに出してシルバーにすると、少し縮んだり、細かな部分の形や小さな傷が目立ちが発生。
結局金属でも修正することになりました。
キャストを想定して、ワックスから丁寧に仕上げることが大事だと痛感です。

<石留め・仕上げ>
・石留めはカーブの外側にかけて滑らかに繋がること。
・爪とその周辺のバランスを色々な角度から見て調整すること。
不自然のない滑らかな曲線を描くようにバランスを整えました。
宝石の中心から外側にかけては、急な角度を入れ、少しメリハリを(少しやり過ぎたかも)。

ではまたっ!